LIFE!(The Secret Life of Walter Mitty)

人生に疲れているあなたにおすすめの『LIFE!』。美しい映像とストーリーに癒されよう

カテゴリーコメディドラマ
監督ベン・スティラー
脚本スティーブン・コンラッド
製作会社Samuel Goldwyn Films
Red Hour Films
製作国アメリカ
言語英語
公開2013年10月5日(ニューヨーク映画祭)
2013年12月25日(アメリカ)
2014年3月19日(日本)
上映時間115分
製作費9000万ドル
興行収入1億8800万ドル(世界)
10億円(日本)

予告動画

要約

主人公のウォルター・ミティ(ベン・スティラー)は42歳でありながら、空想が趣味という変わった男性。ニューヨークで長い歴史を持つ「LIFE」編集部のネガフィルム管理部門で、地味にコツコツと働く冴えないウォルターは、思いを寄せるシェリル・メルホフ(クリステン・ウェグ)に声をかけられず、職場でも影が薄い。上司に嫌味を言われたときには、その上司をぶっ飛ばす空想、シェリルに会ったときにはシェリルを口説く空想をして、気持ちを静める毎日を送っていた。

経営難に陥っていた「LIFE」に新しいボスのテッド・ヘンドリックス(アダム・スコット)が出社し、雑誌をオンライン化することと大規模なリストラを発表した。

「LIFE」最終号の表紙は大写真家であり、冒険家のショーン・オコンネル(ショーン・ペン)の写真が飾ることになった。ショーンはこれまでのウォルターの仕事ぶりを褒めたたえ、LIFEのスローガンが入った革財布と写真のファイルを贈るが、肝心の表紙に使う「25枚目のフィルム」が欠けていた。

テッドは表紙写真の提出を急かしてくるが、もしもないことがばれてしまえばウォルターのリストラは必至。フィルムを見つけるためには、ショーンに聞くしかなかったが写真撮影のために世界中を回っているショーンを捕まえるのは、とても大変なこと。それでもウォルターはシェリルの協力を得て、ショーンがグリーンランドにいると推理した。

世界を駆け巡るウォルターの旅が始まった。飛行機に乗ってからは、これまで空想の世界でしか起こり得なかったハプニングが実際に起こるようになる。ウォルターはグリーンランドに到着するが一歩遅く、ショーンはすでにアイスランドの火山帯へと飛び立っていた。ウォルターもアイスランドに行くが、ここでも会うことができず、火山の噴火に巻き込まれてしまう。

帰国したウォルターはテッドからクビを言い渡される。シェリルもすでに解雇されていた。ショーンに振り回された挙句、リストラされてしまったウォルターは自宅に戻り、腹立ちまぎれにショーンからもらった財布を捨てた。

しかし、ウォルターはショーンがウォルターの家に来ていたことを母親のエドナ・ミティ(シャーリー・マクレーン)から聞かされる。エドナからショーンの行先を聞いたウォルターはアフガニスタンを目指す。ユキヒョウを撮影しているショーンにようやくウォルターは会えたが、ネガフィルムの在り処を聞いて愕然とする。それは、ショーンが捨ててしまった財布の中に入っていたというのだ。果たしてショーンはもうネガフィルムを手に入れられないのだろうか。また「LIFE」誌は本当になくなってしまうのだろうか…。

レビュー

日本で公開された当時は、ウォルターの日本語吹き替えを担当したナインティナイン・岡村隆史の声の演技にばかり注目が集まってしまっていた。しかし、本作の見どころは内容にあるといえるだろう。アメリカと日本の違いはあるものの現在企業で働いている、ウォルターと同じような境遇の中年男性であればかなり共感できるのではないだろうか。空想や妄想だけは立派で、現実でアクションを起こすことの大切さを忘れてしまい、日々を淡々と過ごしている人は、まるで自分のことではないかと錯覚してしまうだろう。

誰しも一度ぐらいは、大嫌いな人をぶん殴ったり、ぐうの音も出ないほど言い込めたりする空想をしたことがあるだろう。しかし、その空想を周りに口にする人はほとんどいない。むなしいことだとわかっているからだ。それをウォルターが映画の中でやってのけてくれた意味は大きい。空想の世界だからといって適当に作られているのではなく、アクション映画さながらの迫力があるので、スカッとした人も多いだろう。ウォルターのように、ぱっと見は大人しく、地味な人間が頭の中ではとんでもないことを考えているという設定もおもしろく、より共感できる。

ストーリーはありがちといえばありがち。旅する中でさまざまな人と出会い、成長していく構成は映画の定番だし、ずっと探していたものが意外と身近なところにあるというのもよくある話だ。嫌味な上司・テッドの悪役ぶりや自由奔放な写真家・ショーンなどの設定もステレオタイプといえよう。平凡で冴えないはずのウォルターが、なぜかスケボーにスイスイ乗れたり、ヘリコプターから飛び降りる度胸があったりとややご都合主義な点も見られる。

それでも、この映画が高く評価されているのは、ウォルターの空想癖がなくなっていく過程にあると言えよう。酔っぱらいの操縦士が運転するヘリからウォルターが飛び降りたシーンを見たときには「ああ、またウォルターの空想が始まったか」と思ったが、そうではなく現実のこと。おそらく制作側は初見の人に「どうせ、ヘリからの飛び降りも空想だろう」と思わせるために、前半にウォルターの空想エピソードをいくつも盛り込んだのではないだろうか。

これまで空想でしかハラハラドキドキを味わってこなかったウォルターが旅に出たことをきっかけに、空想を上回る体験をするようになる。このヘリコプターからの飛び降りシーンは、ウォルターが空想癖から卒業する第一段階だといえよう。こうした演出が本作の憎いところなのである。

また、本作は映像と音楽にもかなり助けられている。冒頭のせわしいニューヨークのオフィスや街中を映してから、グリーンランドやアイスランドの豊かな自然をこれでもかというほど映しているので、私たちは風景のギャップを楽しむことができる。挿入歌にデビッドボウイの楽曲を使うとは、製作側は中年男性のツボを本当によく理解しているなあと感心してしまうほどだ。

本作には原作があり、1947年には『虹を掴む男』というタイトルで映画化されている。興味のある人は、オリジナルと比較してみるといいだろう。現代の映像技術を駆使している本作は、大変見ごたえのある作品となっている。「リメイクはダメ」などと言われることも多いが、本作はオリジナルに負けずにクオリティの高い作品といえるだろう。とりあえず、今後鑑賞する方には、吹き替えではなく字幕で観ることをおすすめしたい。

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