ギフテッド(Gifted)

天才児と叔父の家族愛を描いた『ギフテッド』は静かな良作。クリス・エヴァンスとマッケナ・グレイスのコンビが素敵!

カテゴリードラマ
監督マーク・ウェブ
脚本トム・フリン
製作会社TSGエンターテインメント
フィルムネイション・エンターテインメント
グレードA・エンターテインメント
デイデイ・フィルムズ
製作国アメリカ
言語英語
公開2017年4月7日(アメリカ:限定公開)
2017年4月12日(アメリカ:拡大公開)
2017年11月12日(日本)
上映時間101分
製作費700万ドル
興行収入4300万ドル(世界)
2400万ドル(アメリカ)
2億1000万円(日本)

予告動画

要約

舞台はアメリカフロリダ州にある小さな町。主人公のフランク・アドラー(クリス・エヴァンス)は7歳のメアリー・アドラー(マッケナ・グレイス)と片目の猫・フレッドと3人で暮らしている。メアリーはフランクの姉であるダイアン・アドラーの娘だったが、ダイアンが自らの命を絶ってからはフランクが育てていたのだ。ダイアンはミレニアム問題と呼ばれる数学の難問のひとつ、ナビエ-ストークス方程式の解明に迫るほどの天才数学者だったが、メアリーには普通の生活を送らせることを望んでいた。フランクは亡き姉の遺志を尊重し、メアリーを普通の学校に入学させる。

しかし、母の数学の才能を継いでいたメアリーにとって、小学校一年生の算数は退屈で仕方がなかった。難しいかけ算もすぐに解いてしまうメアリーの才能に気づいた教師のボニー・スティーヴンソン(ジェニー・スレイト)はインターネットでフランクの名前を検索する。そこで、フランクの姉が著名な数学者であったこと、さらに彼女が既に自殺していたことを知った。

フランクに興味を持ったボニーは、毎週フランクが顔を出すバーを訪れて意気投合する。フランクは、ダイアンが自殺直前に自分のところに来ていたにも関わらずデートを優先させてしまったこと、ダイアンと母親が絶縁状態だったためにフランクがメアリーを引き取ったことを話す。

頭が良すぎる上に少々生意気なメアリーは学校で浮き気味だったが、上級生に立ち向かっていじめられっ子を助けたことで、同級生と打ち解けるようになる。しかし、学校側はメアリーの特別な才能を活かすべく、フランクにギフテッド教育に特化した学校への転校をすすめてきた。しかし、フランクの意志は固く、紹介された奨学金制度も断ってしまう。そんなある日、フランクの母であり、メアリーの祖母のイヴリン・アドラー(リンゼイ・ダンカン)がフランクのもとにやってくる。メアリーの特別な才能を知ったイヴリンはメアリーの親権を譲り受けて、メアリーを数学者にしようと考えていたのだ。

当然フランクは断るが、イヴリンもあきらめず、二人は裁判で親権を争うことに。イヴリンはメアリーの実の父親を見つけ出し、フランクが合意を得ないままメアリーを引き取っていた話をするが、肝心の父親がメアリーに全く興味がないことが判明してしまう。メアリーはその事実を知ってしまい、深く落ち込む。そんなメアリーを慰めるためにフランクは産婦人科に連れていき、子どもが産まれて喜んでいる家族を見せる。そしてメアリーが生まれたときも家族は大喜びしたことを伝えた。裁判ではイヴリンのダイアンに対する育て方が行き過ぎと指摘され、フランクが優勢になる。しかし、個人でボートの修理店を開いていて、保険にも入っていないフランクは経済状況の不安定さを指摘されてしまった。

フランクの弁護人であるグラッグ・カレン(グレン・プラマー)は、裁判に負けるかもしれないと、和解を提案する。和解案はメアリーを車でわずか30分の場所にいる里親のもとに出し、5年間そこで暮らす。そして、5年後にメアリーが住む場所を決めるというものだった。イヴリンに親権を取られてメアリーがボストンに行ってしまうよりは…と考えたフランクは和解案に応じる決心を固めた。フランクと離れることに激しく反抗するメアリーと別々の生活が始まるが…。

レビュー

本作の監督は『(500)日のサマー』で一躍有名になったマーク・ウェブ氏。『(500)日のサマー』でも感じていたが、この監督は人間の心の機微を書くのが本当に上手い。本作でも一見、イヴリンが悪役のように見えるが、彼女にも娘を失ったことでさまざまな苦悩があったことが、裁判のシーンやメアリーを自宅に招待したシーンから伝わってくる。それでもメアリーの愛猫・フレッドを保健所送りにしようとしたのはいかがかと思うが…。

日本ではあまり聞き慣れない言葉だが、“ギフテッド”とは先天的に高度な知的能力を持っている人のことであり、アメリカではギフテッドに関する研究がかなり進んでいる。ハリウッドでもギフテッドを取り上げた映画が多く製作されていることからも、一般にも認知度が高い言葉といえるだろう。しかし、本作はメアリーの類まれなる才能にはそこまでフォーカスを当てていない。メアリーが才能を発揮するシーンはいくつかあるのだが、あくまで中心はフランクやイヴリンをはじめとする家族関係なのだ。

それなのに、なぜタイトルに『ギフテッド』と名付けたのだろうか。それは、本作のキャッチフレーズ「いちばん大切なのは<愛する>才能」を意識した上で映画を観るとよくわかる。この映画でいう“ギフテッド”とは決してメアリーの数学の才能だけではなく、人を上手に愛する才能があるかということなのだ。英才教育を施すにしても、普通の生活を送らせるにしても、大切なのは子どもであるメアリーの気持ちを尊重して、最善の道を選んであげられるかということだろう。

その意味では、数学者として名を上げたい一心でメアリーに英才教育を無理強いするイヴリンには“ギフテッド”が欠けているといえる。メアリーが一緒に暮らすのを嫌がるのも当然だろう。メアリーを演じたマッケナ・グレイスはわずか12歳(公開当時11歳)であるが、大人顔負けの知能を発揮するシーンも、子どもらしさを見せるシーンも表情をたくみに使い分けていて非常に上手かった。

また、フランクを演じるクリス・エヴァンスも父親役としていい味を出している。メアリーを溺愛し、可愛がりまくっているかというと決してそうではなく、生意気なメアリーにほとほと手を焼きっぱなし。ときには自分の時間が取れないことに、苛立ったりもする。しかし、それはよくある父親の姿ではないだろうか。ましてフランクとメアリーは実の親子関係ではないのだ。二人が醸し出す絶妙な空気感は見どころのひとつと言えよう。『キャプテン・アメリカ』や『アベンジャーズ』などアクション映画で有名になったクリスだが、今作のようなヒューマンドラマにも合うことを発見できた。

派手なシーンや、奇想天外な展開はないが、家族の大切さに気付かせてくれる良質な作品といえるだろう。英才教育をとるのか、それとも普通の暮らしを貫くのか、フランクが最終的に取った道が興味深い。気になる人はぜひチェックしてほしい。

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