縞模様のパジャマの少年(The Boy in the Striped Pyjamas)

二人の少年の友情は戦争の前では無意味?「縞模様のパジャマの少年」は友情映画といえるのか?

カテゴリードラマ
監督マーク・ハーマン
原作ジョン・ボイン
脚本マーク・ハーマン
製作会社ミラマックス
BBCフィルムズ
ヘイデイ・フィルムズ
製作国イギリス
アメリカ
言語英語
公開2008年9月12日(イギリス)
2008年11月7日(アメリカ)
2009年8月8日(日本)
上映時間95分
製作費1250万ドル
興行収入4000万ドル(世界)

予告動画

要約

第二次世界大戦下のドイツ。主人公である8歳の少年・ブルーノ(エイサ・バターフィールド)は、厳格なナチス党員である父親のラルフ(デヴィット・シューリス)の栄転に伴い、ベルリン郊外に引っ越してくる。

母親のエルサ(ヴェラ・ファーミガ)や姉のグレーテル(アンバー・ビーティー)も一緒だ。郊外にポツンとある住宅の周りには学校や遊び友達もおらず、ブルーノは退屈を持て余す。

家の周りには時節異臭が立ち込め、ラルフとエルサの間には喧嘩が増え、とても魅力的な環境とはいえなかった。

限界を感じ始めるブルーノだったが、ある日家から少し離れたところに農場のような施設があることを知る。それはユダヤ人収容所であり、ラルフはそこの新しい所長に任命されたのだったが、ブルーノは知る由もない。

大人の目を盗んで、収容所に行ってみたブルーノは、有刺鉄線が張られた鉄条網越しに自分と同じ年くらいであろう少年・シュムール(ジャック・スキャンロン)と出会う。全く環境が違う二人の会話はイマイチかみ合わないが、鉄条網越しの交流を続けるにつれて、友情をはぐくむようになった。

ある日、シュムールが仕事だからといってブルーノの家にやってくる。何の事情も知らないブルーノは机の上に置いてあったお菓子をシュムールに渡す。むさぼるように食べるシュムールだったが、ラルフの部下である将校・コトラー中尉(ルパート・フレンド)に見つかってしまう。

ブルーノはコトラーに叱られることを恐れ「シュムールが勝手にお菓子を食べた」と嘘の証言をしたために、シュムールは激しいせっかんを受けてしまった。

いまだにユダヤ人収容所を農場と信じているブルーノは、エルサに異臭の原因を聞く。ここは、子ども達を育てるにふさわしい環境ではないと考えたエルサは、ラルフを残してベルリンに戻る決意をする。グレーテルも賛成し、ラルフもこれを受け入れた。

しかし、ブルーノはシュムールのことが気になって仕方がない。シュムールの傷が癒える頃、再びブルーノが鉄条網のところに行くと、そこにはシュムールが座っていた。

再会を喜ぶブルーノだが、シュムールは父親がいなくなってしまったらしく、元気がない。コトラー中尉に嘘の証言をした罪悪感も手伝って、ブルーノはシュムールの父親を一緒に探す約束をする。

そして、引っ越し当日。ブルーノはかねてより打合せしていたように、スコップを持ち出して、鉄条網の下を掘ってトンネルを作り、シュムールが用意した縞模様のパジャマを着て潜り抜けた。

収容所は快適だと映像で教えられていたブルーノだが、現実の収容所内は鬱蒼とした雰囲気で映像とは程遠いものだった。ブルーノは帰りたいとシュムールに訴えるが、もう少し付き合ってほしいといわれ、逆らうことができない。

そのうち、大人から服を脱いでシャワー室に入るようにと命令される。

その頃、ブルーノがいないことに気づいたラルフ、エルサ、グレーテルらによる捜索が行われていた…。

レビュー

第二次世界大戦下のホロコーストを描いた映画は数えきれないほど存在する。有名なのはアカデミー作品賞を受賞している「シンドラーのリスト」だが、それ以外にも「ソフィーの選択」や「戦場のピアニスト」「ライフ・イズ・ビューティフル」なども名作と呼ばれて久しい。

これらの映画の共通点は大人目線で描かれているところだが、本作は徹底して子どもであるブルーノ目線で描かれている。それがかえって不気味さや恐ろしさを増幅している。

野山に囲まれ殺伐とした引っ越し先、何をやっているのかわからない「農場」、そして時々たちこめる異臭、引っ越しした途端ひっきりなしに起きるようになった両親の夫婦喧嘩、全てが不気味なのだ。

ホロコースト=恐ろしいものであることは大人なら誰でも認識している事実だが、ホロコーストを知らない子どもにも恐ろしさが伝わってくるものであることを示唆している。

本作はブルーノとシュムールの友情を軸に描かれているが、果たして二人の友情はそこまで深いものなのだろうか。映画を観ている途中から、疑問に感じられて仕方がなかった。

物語中盤、コトラーに叱られることを恐れたブルーノはシュムールをあっさり裏切ってしまう。子どもなので仕方ないと言われたらそれまでだが、ここで白けてしまった人も少なくないはずだ。

いくら悪いことをしたとしても、ブルーノはコトラーの上司であるラルフの息子。ユダヤ人のシュムールとどちらが激しく怒られるのかは、わかりきっていることだ。

家族に大切に育てられ、ホロコーストのことを全く教えられずに育てられたために起こった悲劇だが、ブルーノの無知さに全く腹が立たないわけではない。

何も知らないお坊ちゃんのブルーノと、毎日収容所で過ごすシュムールは友達がいないことと、同じ年という点で距離を縮めていったが、表面的なところだけで真の友情が築けていたのか甚だ疑問だ。

結果的に、ブルーノがシュムールの父親を捜す約束をしたために、悲劇を招くことになるのだが、これは自分を裏切ったブルーノに対するシュムールの復讐なのではないかと思ってしまうのは、穿ちすぎなのだろうか。

裏切られたのにも関わらず、あっさり仲直りしたのもやや不自然だ。

また、この映画の重要なポイントとなっているのは「残酷な事実だとしても、子どもには本当のことを教えた方がいいのか?」ということだ。

今、育児中の人や、これから子どもを育てる人が鑑賞するときには、その点を考えながらじっくり鑑賞していただきたい。家族から愛されて育ったブルーノは戦争の現実を全く教えられなかったが、皮肉なことにそれが悲劇を招いてしまう。

冒頭から何度もラルフとエルサの夫婦喧嘩が繰り返されるのは何のためかと考えていたが、なるほど、ラストへの伏線と思えば納得である。

90分と短く、音楽は地味で、物語は淡々と進むが、ホロコーストや戦争の恐ろしさが十分に伝わってくる佳作。派手な戦争シーンなどは一切ないが、それでも戦争の一面を切り取った映画であることに違いない。これから観る人は、ブルーノとシュムールの関係を考えながら鑑賞するといいのでは、と思う。

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