ザ・スクエア 思いやりの聖域(The Square)

カンヌ映画祭グランプリでも一般ウケはしそうにない。「ザ・スクエア 思いやりの聖域」はとにかく長い不条理映画

カテゴリードラマ
監督リューベン・オストルンド
脚本リューベン・オストルンド
製作エリク・ヘンメンドルフ
フィリップ・ボベール
製作会社Plattform Produktion
Film i Väst
Essential Films
Parisienne
Coproduction Office
Sveriges Television
Imperative Entertainment
ARTE France Cinéma
ZDF
言語スウェーデン語
英語
デンマーク語
公開2017年5月20日(カンヌ国際映画祭)
2017年8月25日(スウェーデン)
2018年4月28日(日本)
上映時間151分
製作国スウェーデン
ドイツ
フランス
デンマーク
制作費550万ドル
興行収入720万ドル(世界)

予告動画

要約

主人公のクリスティアン(クレス・バング)は、スウェーデン・ストックホルムにある有名美術館「X-Royal Museum」のチーフキュレーター。その日も、女性インタビュアーのアン(エリザベス・モス)から取材を受けていた。意気投合した二人は、一夜を過ごす。

別の日にクリスティアンが歩いていると、ひとりの男性から呼び止められる。男性から追われていると困っている女性がいるので、一緒に助けてあげて欲しいというのだ。クリスティアンは助けてあげたいと思うものの、何をすればいいのかわからない。女性を追いかける男は猛スピードで迫ってくるが、「ただ走っているだけだ!」というだけで何も危害を与えなかった。

意味のない出来事に苦笑しながらクリスティアンがポケットに手を突っ込むと、財布とスマートフォンがなくなっていた。職場でGPS機能を使ってスマホを探すと、貧しい地域にあるアパートのどこかに自分の所持品があることがわかる。部下の男性はおもしろがって、アパートの全室に脅迫状を入れてみてはどうかと持ち掛ける。クリスティアンは乗り気になり50枚の脅迫状を作るが、ポストに入れる直前に部下の男性が怖気づいて逃げてしまう。しかたなくクリスティアンはひとりでポストに脅迫状を投函した。

その頃、「X-Royal Museum」では次の展示になる「ザ・スクエア」の準備が進んでいた。この展示のコンセプトは「このスクエアの中ではすべての人が平等の権利を持ち、平等に扱われる」であるとクリスティアンはアピールするが、広告会社の担当者は「そんなことは当たり前だ」といって難色を示す。大々的にアナウンスするにはもっとインパクトが必要と言われたクリスティアンは頭を抱える。

それから数日後、紛失したクリスティアンの財布とスマホが郵送されて戻ってきた。しかし、数日後「よくも泥棒扱いしたな。謝らなければカオスに陥る」と書かれた手紙がコンビニ経由で送られてくる。不気味に思うクリスティアンだったが、なすすべがなかった。

広告会社の担当者は弱者である物乞いにスポットを当て、「ホームレスの少女がスクエアの中に入ったら何が起こる?」というテーマで、スクエア内の少女が爆発するプロモーション動画を提案する。過激すぎる内容にスタッフ一同は戸惑う。しかし、キーマンであるクリスティアンは脅迫状が気がかりになって上の空。広告会社のプランでいいと適当に返してしまう。

さらにクリスティアンに泥棒扱いされたという少年が現れる。家族にゲームやなにもかもを禁止されたという少年は、クリスティアンを激しく責める。さらに、クリスティアンと肉体関係を持ったアンが現われ、他のスタッフがいる前で二人の関係をにおわせる発言を連発する。前妻との子どもを預かれば、姉妹は喧嘩を始めてしまう。

踏んだり蹴ったりのクリスティアンをさらなるトラブルが襲う。美術館が動画サイトにアップした「金髪少女がスクエアの中で爆破される」動画が激しいバッシングを受けていたのだ。責任を問われたクリスティアンはひとりで記者会見に臨むが…。

レビュー

第70回カンヌ国際映画祭のパルムドール(最高賞)を受賞した本作品。アカデミー外国語映画賞にもノミネートされ、さまざまな賞を受賞した作品と聞いていたが、日本人には受けないだろうなというのが正直な感想だ。フィンランド映画とは珍しいので、どのようなものかと期待していたが、ヨーロッパ映画にありがちな「意味がないようでありそう」なシーンの連続で盛り上がりがほとんどなく冗長に感じられた。

しかも、長い。映画はよっぽどおもしろいものでなければ2時間を超えてくると辛く感じる。始まって1時間経ってもこれといった出来事が起こらず、あと1時間以上残っていると思うとうんざりしてしまった。

まず、冒頭のシーンからイマイチよくわからない。インタビュアーのアンがクリスティアンにさまざまな質問を投げかけるのだが、特に意味があるものでなく、この時点ですでに飽きを感じた。
また、設定も苦しい。自分の財布やスマホを探すために大の男、ましてや権威ある美術館のチーフキュレーターが冗談半分の脅迫状を作るなんて無理やりすぎる。この脅迫状が後々重大な意味を持ってくるのだが、きっかけが唐突すぎてよくわからないのだ。

しかし、この幼稚な脅迫状がきっかけで、クリスティアンがこれまで築いてきたキャリアがボロボロと崩れていくのだから滑稽だ。アンには自分たちの関係を暴露されてしまうし、脅迫状に気を取られていたせいで動画サイト炎上事件も起きてしまうのだから、滑稽を通り越してかわいそうになってくる。タイトル通り「思いやり」が本作のテーマだが、それをテーマに展示を作ろうとする大人たちがみんな自己中心的なものだから皮肉なものだ。

炎上してしまった金髪少女の爆発動画も、奇をてらうことしか考えていなかった広告会社のせいだし、クリスティアンも自分のことしか考えていないから対応が後手になってしまっている。脅迫状を出してきた少年の相手もまともにできず、これが本当にキャリアのある男性なのだろうか。ひたすらクリスティアンのダメ男ぶりが目立つ映画で見ていてフラストレーションがたまった。

本作で一番おもしろかったのは、美術館が主催するパーティーでパフォーマンス・アーティストのオレグ(モーション・キャプチャー)が猿人間となって会場で暴れまくるシーンだ。半裸になって四足歩行し、奇声を発するオレグはかなり不気味で気持ちが悪いが、不思議とひきつけられる。出席者の女性にまとわりついているうちは誰も助けようとしないのに、女性が押し倒され、犯されそうになった途端によってたかってオレグをボコボコにするところは、なかなかリアルで面白かった。本編とはほとんど関係のないエピソードだが、モーション・キャプチャーの見事な「猿男」ぶりは、一見の価値があるだろう。

見どころがないわけではないが、最終的には「長すぎて退屈する」が正直な感想だ。ヨーロッパ映画が好きな人にとってはおもしろいのかもしれないが、カンヌ映画祭パルムドールの謳い文句にひかれて選ぶと、失敗と感じるのかもしれない。寝落ちしてしまわないようにくれぐれもご注意を…。

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