レディ・バード(Lady Bird)

アメリカ版中二病映画?「レディ・バード」は青春時代の痛さを思い出すほろ苦映画

カテゴリー青春
監督グレタ・ガーウィグ
脚本グレタ・ガーウィグ
製作スコット・ルーディン
イーライ・ブッシュ
エヴリン・オニール
製作会社スコット・ルーディン・プロダクションズ
A24
マネジメント360
IACフィルムズ
言語英語
公開2017年11月3日(アメリカ限定公開)
2017年11月24日(アメリカ拡大公開)
2018年6月1日(日本)
上映時間94分
製作国イギリス
アメリカ
製作費1000万ドル
興行収入4890万ドル(アメリカ)
7860万ドル(世界)

予告動画

要約

舞台は2002年のカリフォルニア州サクラメント。これといった特徴のない田舎町で暮らすクリスティン・マクファーソン(シアーシャ・ローナン)は自らを“レディ・バード”と名乗るちょっと変わった女子高生。カトリック系の高校に通うレディ・バードは、うつ病にかかり失業中の父ラリー(トレイシー・レッツ)と血のつながらない兄・ミゲル(ジョーダン・ロドリゲス)、そしていつも衝突ばかりしている母・マリオン(ローリー・メトカーフ)の3人と暮らしていた。

高校卒業まであと1年となったレディ・バードはマリオンとともに大学見学に訪れる。田舎を出て文化のある都会に行きたいと考えるレディ・バードと、家計の事情から州内の大学へ進学してほしいと考えるマリオンの折り合いはつかず、レディ・バードはマリオンの運転する車から飛び降りた。

ギプスをはめて登校したレディ・バードはシスターから校内ミュージカルのオーディションを勧められる。オーディション会場でダニー・オイール(ルーカス・ヘッジズ)という男子学生に惹かれたレディ・バードは、ダニーと親密になるため、熱心に稽古へと通う。努力の甲斐があってダニーと交際することになったレディ・バードは、自宅にダニーを招く。レディ・バードの家族はダニーを歓迎するが、レディ・バードが自宅はスラムにあると言っていたことを知ったマリオンは顔をしかめる。

感謝祭の日、レディ・バードはダニーの家に招待される。自分がかねてより憧れていた家がダニーの家であることを知ったレディ・バードは有頂天になるが、ミュージカル公演の打ち上げではトイレでダニーが男性とキスしているところを目撃してしまい、ショックを受ける。

翌日、レディ・バードはバイト先のカフェで本を読んでいるミュージシャンのカイル・シャイブル(ティモシー・シャラメ)に惹かれて、声をかける。ベッドに書いていたダニーの名前は消され、代わりにカイルの名前が書かれた。

カイルと近づくためにレディ・バードはクラスの中心的存在であり、カイルと親しいジェナ・ウォルトン(オデイア・ラッシュ)と距離を縮める。親友のジュリアン・ステファンズ(ビーニー・フェルドスタイン)とは距離を置き、舞台の稽古もすっぽかすようになってしまう。

ジェンナを介してレディ・バードはカイルと親しくなることに成功し、ジェンナ宅で開かれたパーティーで結ばれる。お互い初体験同士と思っていたレディ・バードだが、カイルはこれまでも数人の女性と関係を持っていたことを知り、激しいショックを受ける。

高校卒業後は州内の大学への進学が決まっていたが、どうしてもニューヨーク行きを諦めきれないレディ・バードはラリーの助けを得て、マリオンには内緒でニューヨークの大学を受験する。何とかひとつの大学に補欠合格し、喜ぶレディ・バードだが、マリオンには打ち明けられないでいた。

しかし、ミゲルの就職祝いの会食中、偶然居合わせたダニーがレディ・バードのニューヨーク行きを家族にばらしてしまう。激怒したマリオンはレディ・バードと口をきかなくなってしまう。そしてレディ・バードがニューヨークに行く日がやってきた…。

レビュー

「自分は他の人とは違う人間だ」という思いは、自意識の強い思春期真っただ中の男女であれば一度は持つ考えではないだろうか。未熟さゆえに本能のまま突っ走り、失敗し、やがて現実を知っていく。

日本では「自分は特別」と考え、わざと少数派ぶってみたり、かっこつけたりする状態を「中二(厨二)病」と呼んでいるが、これは日本に限った話ではないことが本作を見て理解した。

本作の主人公・レディ・バードはまさに中二病真っただ中の女子高生だ。自らを「レディ・バード」と呼ぶ痛々しさはなかなかのもので、周りの「何を言っているのだろう、この子は?」という反応には思わず苦笑してしまう。

平凡で退屈な田舎町を嫌い、都会を夢見る姿や、自分の家を恥じて嘘をついてしまう気持ちもよく理解できる。途中で性格はいいけど太っている親友のジュリーとは距離を置き、スクールカースト上位のジェンナにすり寄っておこぼれをもらおうとする姿も学生時代あるあるだ。好きな人ができると、その人のこと以外目に入らず、周りを傷つけてもどうでも良いといった振る舞いに至っては、過去の自分を思い出していたたまれない気分になってくる。

思春期特有の衝動については理解できるのだが、やはりアメリカと日本で違うなあと感じる部分もあった。たとえばレディ・バードはジェンナと急速に仲良くなるが、日本ではスクールカーストが違うもの同士が簡単に仲良くなることはそうそうない。

この辺りは、日本とアメリカで考えが違うものなのだろうか。それとも話の展開上仕方なかったのだろうか。あまりにあっさりジェンナと仲良くなるので、気になってしまった。

また、レディ・バードの性格によるものかもしれないが、好きになった男性を次々とあっさり落としてしまうのもなかなかすごいと思った。日本では、まだヴァージンの子がこんなにも積極的にアプローチできることはそうないのではないだろうか。この展開の速さにはちょっと驚いてしまった。

中二病あるあるばかりが目に付いてしまったが、母親であるマリオンとレディ・バードの関係の描き方はよかった。マリオンはレディ・バードに対する愛情は確かにあるのだが、反抗ばかりするレディ・バードに手を焼き、厳しい家計事情も相まって何かときつく当たってしまう。そんなマリオンの態度に「自分は愛されていない」と思い、ますます暴走するレディ・バードの不器用さが痛々しくも切なかった。

レディ・バードを空港まで送り、泣きながら車を運転するマリオンのシーンや、父と一緒に飛行機を見上げるシーンは親子愛を感じさせる良いシーンなのでぜひ見てもらいたい。

ひとりの少女が成長をすることで、周りの愛情に気づいていく青春映画の良作と言える。90分程度と比較的短い映画なので、長時間の映画が苦手な人にもおすすめだ。「君の名前で僕を呼んで」で注目を浴びたティモシー・シャラメも、イケメンぶりを発揮しているのでこちらの映画のファンの方も必見だ。

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