キングスマン(Kingsman: The Secret Service)

『007』シリーズに負けないイギリススパイ映画。『キングスマン』がおもしろすぎる!

カテゴリースパイ
監督マシュー・ヴォーン
脚本ジェーン・ゴールドマン
マシュー・ヴォーン
製作マシュー・ヴォーン
デヴィッド・リード
アダム・ボーリング
製作会社Marv Films
Cloudy Productions
TSG Entertainment
言語英語
公開2015年1月29日(イギリス)
2015年9月11日(日本)
上映時間129分
製作国イギリス
アメリカ
製作費8100万ドル
興行収入4億1400万ドル(世界)
9億8000万円(日本)

予告動画

要約

イギリス、ロンドンのサヴィル・ロウにある高級紳士服店。一見テーラーのように見えるこの店の正体はどこの国にも属さないスパイたちの組織「キングスマン」の拠点であった。キングスマンのスパイたちは難事件やテロを解決していたが、その正体を家族にさえも知らせてはいけないルールがあった。

主人公のゲイリー・エグジー・アンウィン(タロン・エガートン)の父親リー(ジョノ・デイヴィース)はキングスマンの候補生だったが、敵の自爆攻撃から仲間をかばって爆死した。その仲間であったハリー・ハート(コリン・ファース)はリーの家族のもとにいき、一枚のメダルを渡し「困ったことがあったらここに電話するように」と伝えた。

17年後のエグジーは母親のミシェル(サマンサ・ウォマック)と義父のディーン・ベイカー(ジェフ・ベル)と暮らしていたが、不良グループのボスで自分やミシェルにしばしば暴力をふるうディーンとはそりが合わない。せっかく入隊した海兵隊も辞めて自堕落に暮らすエグジーは、チンピラたちとの喧嘩のあとに車を盗んだことで逮捕される。困ったエグジーは何気なくメダルに書かれていた電話番号に電話をかけると、なぜかすぐに保釈された。

警察署を出たエグジーをハリーが待ち受けていた。ハリーはエグジーにリーがキングスマンのスパイだったことを話すが、エグジーはなかなか信じない。そんなときに、二人はチンピラから襲われそうになるが、ハリーは鮮やかに攻撃をかわし、彼らをやっつけた。ハリーの身のこなしに魅了されたエグジーはハリーの誘いになり、キングスマンの候補生になることを決める。

候補者はエリートばかりでエグジーは肩身の狭い思いをするが、女性候補性のロキシー・モートン(ソフィ・クックソン)と共に最終試験にまで残る。最後の試験でエグジーはずっと一緒に行動してきた犬を殺すように命じられるがどうしてもできない。結果エグジーは試験に落ち、ロキシーが「ランスロット」のコードネームを継ぐことになった。

その頃、ハリーは世界規模のテロ計画をすすめるIT富豪のリッチモンド・ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)のたくらみに気づき始める。環境保護のために人口を減らすべきと考えるヴァレンタインは人々に埋め込んだSIMカードに信号を送って人間を凶暴化させていたのだ。上流階級以外の人を殺し合いさせようとするヴァレンタインを阻止するために、ハリーは実験会場の教会に侵入する。しかし、ハリー自身が信号に操作されて多くの人間を殺害し、しまいにはヴァレンタインに射殺されてしまう。

父親のような存在であるハリーを失ったエグジーはキングスマンのリーダーであるアーサー(マイケル・ケイン)のもとに向かうが、アーサーにもSIMカードが埋め込まれていた。

エグジーは教官のマーリン(マーク・ストロング)とロキシーを信頼し、三人でヴァレンタインと戦うことを決意する。ハリーが仕立ててくれたスーツを身に着け、キングスマンのスタイルになったエグジーはヴァレンタインが主催するパーティー会場に潜入する。そこではヴァレンタインが全世界の人間に信号を送る準備を行っていたのだった…。

レビュー

アメリカとイギリスの合作映画だが、イギリス映画の要素が強いためか、どうしても最初は『007』シリーズと比較してしまいがちだった。スタイリッシュなルックスと洗練された所作、そして小粋なイギリスジョークなど似通っている点も多いのだが、ストーリーが進むにつれて『007』とは全く別物であると認識できた。

本作はコミックスが原作であるため、設定からストーリーまで漫画的な要素がいくつか見られる。エグジーがキングスマンになるきっかけもそうだが、ヴァレンタインという絶対的な悪役がいるところもいかにも漫画だ。一見、スパイ組織とは思えない高級紳士服店が実は…という設定もありがちだ。

しかし、わかりやすいストーリーであることで、本作の最大の見どころであるアクションシーンに集中することができる。ヴァレンタインとの戦いはさることながら、最初のチンピラと戦うハリーの所作が抜群にかっこいい。全く無駄のない動きで、敵を制圧する姿はまさに英国紳士そのものである。このシーンが続編となる『キングスマン:ゴールデンサークル』でも重要になってくるので、ぜひしっかりチェックしていただきたい。

今回はシリーズ第一作目ということで、エグジーがキングスマンになる過程も描かれているが、くどくなりすぎずに個人的にはちょうどいいと感じた。エグジーがキングスマンになれることはわかりきっているのだし……。ただし、人によっては「ヴァレンタインの部分を削ってもう少ししっかり描いてほしかった」と感じるのかもしれない。

わかりやすいストーリーのスパイ映画ではあるが、使われている音楽はかなり個性的で、監督のこだわりぶりが伝わってくる。使用されているのは主にダイアー・ストレイツやディジー・ラスカルなどイギリスのミュージシャンの楽曲だが、アメリカのロックバンド、レイナード・スキナードも教会のシーンで効果的に使われているのでぜひ耳を澄ませてほしい。

クライマックスとなるパーティー会場の大乱闘で、まるでお祭りのように上がりまくる打ち上げ花火、それに合わせて流れるイギリス第二の国歌「威風堂々」は一種の芸術のようにさえ思える。洋楽好き、音楽好きの人は間違いなく必見の映画だ。

爽快かつわかりやすいストーリーで2時間強の上映時間の長さも気にならないが、最後の終わり方だけはどうしても納得がいかなかった。あれだけスマートでスタイリッシュなシーンとセリフの連続だったのに、なぜ最後はこんなに下品なの?という感想を抱いてしまった。このシーンは果たして必要だったのだろうか、本作を見た人にぜひ聞いていたいものである。

ラストシーンに疑問は残ったものの、ストーリー、演出、音楽、キャストとすべて合格点を満たしているスパイ映画。これまで英国スパイ映画と言えば長らく『007』が王道だったが、昨今シリアスな展開続きで、初期の爽快感が失われつつあることを思うと、今後は『キングスマン』に期待したくなってくる。続編が楽しみだ。

 

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