パッドマン 5億人の女性を救った男(Pad Man)

“生理”がテーマの意欲作!『パッドマン 5億人の女性を救った男』でわかるインドの男女格差社会

カテゴリー伝記
監督R・バールキ
脚本R・バールキ
製作トゥインクル・カンナー
製作会社コロンビア映画
ホープ・プロダクション
クリアルジ・エンターテインメント(英語版)
ミルス・ファニーボニーズ・ムービーズ
言語ヒンディー語
公開2018年2月9日(インド)
2018年12月7日(日本)
上映時間121分
製作国インド
製作費2億ルピー(3億600万円)
興行収入12億ルピー(18億3000万円)

予告動画

要約

2000年、北インド中部地方のナルマダ河に面した村・マヘーシュワルにラクシュミカント・チャウハン(アクシャイ・クマール)という名の男性が住んでいた。妻のガヤトリ(ラーディカー・アープテー)をこよなく愛すラクシュミは、工場に勤務してオニオンカッターを作っていた。

この村では月経は穢れとされ、女性は生理が来たらその日から5日間、外で過ごさなければならなかった。虫が出る粗末な寝場所で、不衛生な布を使って経血を吸収しているガヤトリを見たラクシュミは心を痛める。街で生理ナプキンを購入しようとするが、55ルピーもする生理ナプキンや、それを店員からこっそりと渡される扱いに疑問を覚えていた。

そんなとき、ラクシュミの同僚が仕事場で腕を負傷し出血する。慌てたラクシュミはたまたま持っていた生理ナプキンで止血した。周りはラクシュミを不気味な目で見るが、医師はラクシュミの対応を褒めた。

この経験から、ラクシュミは女性のために衛生的な生理ナプキンを開発しようと実験を始める。街中で安価な綿と布を購入し、生理ナプキンを作り上げた。ガヤトリはそんな夫を不審に思いながらも、彼の気持ちを汲んで試してみる。しかし、経血が漏れてサリーを汚してしまった。

これに諦めることなく、ラクシュミはさらなる改良を重ねていく。そんなラクシュミを家族や近所の人はいぶかしむ。生理になった女性の気持ちを知るために、ラクシュミは動物の血とポンプを使って実験する。ついに生理ナプキンが完成したかと思いきや、自転車に乗っている最中に血が漏れてしまい、ラクシュミのズボンは赤く染まる。慌てたラクシュミは聖なる川に飛び込んで、水面を汚してしまう。

聖なる川を汚した罪で、ラクシュミは村民からつるし上げを食らう。ガヤトリの兄はガヤトリを引き取り、ラクシュミは村から追放された。

それでもラクシュミは生理ナプキンの開発を諦めなかった。都会のインドールに行き、生理ナプキンに必要なセルロースファイバーについて勉強するために大学教授の家に住み込む。教授の家に住む子どもからインターネットの存在を教えられ、セルロースファイバーについて理解したラクシュミは、自分で機械を作って生理ナプキンを完成させた。

さらに、街で知り合った女子大生・パリー(ソーナム・カプール)の協力を得て、デリーで発明コンペに出品、見事大賞を受賞する。大手企業からも契約のオファーが来たが、自分の目的は金もうけではないと考えるラクシュミはこの誘いを断った。

ラクシュミの熱意に心動かされたパリーは、大手企業の内定を蹴ってラクシュミと一緒にインドの街や村をまわって生理ナプキンを普及していく。職のない女性に生理ナプキンを作るノウハウを教え、仕事を与えた。女性たちは稼ぐすべを覚え、ラクシュミに感謝するようになる。

一方、ガヤトリはラクシュミに連絡を取ろうかどうかで悩んでいた。そんなとき、ラクシュミの活動に目を付けた国連は、彼をニューヨークの講演会に招く。壇上に立ったラクシュミは通訳を断り、自分なりの英語「リングリッシュ」で話し始める…。

レビュー

国内、国外問わず、発明者にスポットを当てた映画やドラマは多い。最近、日本で話題になった「下町ロケット」はその典型だ。しかし、スポットを浴びるものの多くは機械や食品などであった。「生理ナプキン」という、日本でもなんとなくタブーになっているものを取り上げたのは大変珍しい。まして、未だに生理を穢れと考えるインドで製作したというのもなかなかすごい。

作品でまずびっくりしたのが、2000年の時点でインドの生理ナプキン普及率がわずか12%だったということだ。当時、日本の普及率は100%に近かったはずだ。生理期間に生理用品がなければ、女性はほとんど外に出ることができない。まして生理は基本的に月に1度きて、約1週間も続くのだ。ラクシュミが講演で訴えているように、生理期間に学校へ通えない女性は受験や就職で不利になり、のちのち大変な思いをすることになる。こうしてインドの男女格差はどんどん開いていくのだなあと感じた。

少し違和感があったのが、これだけ生理を穢れと考え、タブー化しているのに、初潮を迎えた少女に対しては盛大にお祝いをしているという点だ。初潮を迎えた少女のためにガヤトリをはじめ、たくさんの女性が一斉に踊るシーンはとても華やかで美しく、本作の見どころのひとつとなっている。

一見矛盾しているように思えるが、良くも悪くも生理を重大なものとして捉えているからこそ、偏見が混じったさまざまな習慣が生まれるのではないだろうか。

まじめに女性の生理問題に取り組んでいるとはいえ、前半のラクシュミの行動には、ついつい笑ってしまう。初潮を迎えた少女の寝床に行って生理ナプキンを渡したり、女子医大前で生理ナプキンを配ったりと異常者と思われても仕方のない奇行が目立つ。動物の血が漏れて股間が真っ赤になってしまい、川にダイブするシーンはインパクトが強すぎる。まさに、シリアスとコメディのバランスが絶妙だ。

この映画で賛否が分かれるのは、ラクシュミがガヤトリとパリーのどちらを選ぶのかという点、そして故郷の村人たちの対応だ。いつまでたっても夫の行動に理解を示さず、恥こそが女にとっての最大の屈辱と考える古風なガヤトリと、常にラクシュミをサポートし続ける先進的な女性・パリー。ネタバレになってしまうので伏せるが、ラクシュミが最後に選ぶ女性については賛否両論があるのかもしれない。

さらに、あれだけラクシュミをバカにしていたのに、彼が成功した途端に詫びの言葉ひとつなく手のひら返しで祭り上げる村民に対しても、「なんだかなあ」という気持ちになってしまった。この辺り、実際のラクシュミカントがどのように感じているのか聞いてみたい。

しかし、それ以外は素晴らしい映画なので、ぜひ女性だけではなく男性にも鑑賞していただきたい。特にクライマックスとなる国連での演説シーンは必見だ。男女平等が叫ばれて久しいが、世界にはまだまだ女性差別が根強く残る地域があることを認識していただきたい。宗教上の理由から本作が上映されない国もあるそうだが、個人的には上映許可されることを望んでいる。

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