モリーズ・ゲーム(Molly’s Game)

映画「モリーズゲーム」はポーカーの世界を舞台にした「親子愛ドラマ」だった⁉

カテゴリー伝記
監督アーロン・ソーキン
脚本アーロン・ソーキン
製作マーク・ゴードン
エイミー・パスカル
マット・ジャクソン
製作会社ザ・マーク・ゴードン・カンパニー
パスカル・ピクチャーズ
シウェン・ピクチャーズ
フワイ・ブラザーズ・ピクチャーズ
STXフィルムズ
言語英語
公開2017年12月25日(アメリカ限定公開)
2018年1月5日(アメリカ拡大公開)
2018年5月11日(日本)
上映時間140分
製作国アメリカ
製作費3000万ドル
興行収入5900万ドル(世界)
2800万ドル(アメリカ)

予告動画

要約

モリー・ブルーム(ジェシカ・チャステイン)は、モーグルスキープレーヤーを夢見て幼いころから父親・ラリー(ケビン・コスナー)による厳しい訓練を受けていた。しかし、2002年冬季オリンピック予選会で失敗し、重傷を負ってしまったモリーは引退せざるを得なくなる。

元々引退後は法律家の道を進もうと思っていたモリーだったが、決心がつかずロサンゼルスに移住し、ナイトクラブで働き始める。そこで不動産業を営むディーン・キース(ジェレミー・ストロング)と出会ったモリーはスカウトされ、彼の事務所のアシスタントになった。

アシスタントの仕事は、非合法のポーカーゲームの運営だった。ハリウッド俳優やスポーツ選手などそうそうたる顔ぶれのセレブが集い、たった一枚のコインで大金が動く世界を知ったモリーは次第にポーカーの世界にはまっていく。

モリーは全くのポーカー初心者だったがすぐにコツをつかみ、セレブたちから金をかすめ取るようになる。最も大きな成功を収めている「プレイヤーX」を喜ばせ、新しいゲームに参加させる術については一流だった。

次第に力をつけてきたモリーを恐れたディーンは彼女を解雇する。しかし、モリーはすぐに自分で事業を立ち上げる決心をし、仲間を集めてホテルの最上階を借り切った。プレイヤーXらにも声をかけ、あっという間にモリーのポーカーゲームはディーンをしのぐようになった。

ポーカーの運営が軌道に乗り、気をよくしたモリーは、より掛け金の高いポーカーを組むようになる。有名なポーカープレイヤーであるハーラン・シャープ(ビル・キャンプ)は元々保守的だったが、このポーカーにはまって大金をかけるようになっていく。ハーランが多額の負債を抱えていることを知ったモリーはとがめるが、ハーランは気を悪くしてモリーから離れた。それに追従するように他のプレイヤーたちもモリーのもとを離れる。

すっかり閑古鳥が鳴くようになってしまったモリーのポーカー。起死回生を考えたモリーは拠点をニューヨークに移す。多くの裕福のプレイヤーと知り合ったモリーは十分な人を集められるようになるが、プレイヤーが支払えなくなると彼女が損失を出してしまうというリスクを抱えていた。さらに、ロサンゼルスとは違って、ニューヨークのポーカーで集まってくるのは、マフィアや詐欺師も多かった。

大きなストレスを抱えたモリーは、次第に薬物にのめり込んでいくようになる。いつしかポーカーの参加者はモリーとつながりのあるロシアやイタリアのマフィアばかりになった。さらに支払いが滞るようになり、モリーやモリーの母親・シャーリーン(クレア・ランキン)も命を狙われるようになる。

しばらくしてモリーは不正行為を行ったとしてFBIに起訴される。資産を没収されたモリーは、母親が住む田舎に帰京する。

それから2年後、ポーカーの暴露本を出版したモリーはFBIに逮捕される。有名な弁護士であるチャーリー・ジェフェリー(イドリス・エルバ)に自身の弁護を依頼するが、一度は拒否されてしまう。しかし、モリーの特別な倫理観に興味を持ったチャーリーは、モリーの弁護を引き受けることを決めた。

モリーの弁護をするために、著書を読むチャーリー。裁判で勝つためには彼女のハードドライブとポーカーの記録を出すようにと提案する。それを聞いたモリーが取った選択は…。

レビュー

「元オリンピック選手候補がポーカーゲームを立ち上げて成り上がっていく」というストーリーを聞いたとき、正直私は『オーシャンズ8』のような映画を想像していた。美しく、才能のある女性が、ポーカーというさまざまな人間が集まってくる世界でたくましく、したたかに生きていくストーリー。そう思ったのは、先月ここで取り上げた『オーシャンズ8』鑑賞後の余韻が残っていたせいかもしれない。

しかし、実際のところは『オーシャンズ8』とは、大きくかけ離れたヒューマンストーリーだった。オリンピック予選選考会、ロサンゼルスでの生活、ニューヨーク移住後、そして逮捕後とひとつひとつのエピソードが淡々と進む印象で、ポーカーの世界を深く教えてくれるわけでもない。

『オーシャンズ』シリーズのように、あっと言わせてくれる壮大などんでん返しを期待していただけに、少々残念な気持ちになってしまった。挑発的なDVDジャケットは一体何だったのだろう、これこそまさに詐欺ではないかと思ったほどだ。

しかし、その先入観こそが間違いであったことが、物語後半になるにつれて判明していく。FBIに目を付けられて逮捕され、ボロボロになってしまったモリーを助けてくれたのは、他でもないずっと確執があった父親・ラリーだったのだ。ラリーによる無料セラピーのシーンでふたりが会話をし、少しずつ和解していくシーンは本作の見どころといえよう。

そもそも、オリンピック選手として未来を嘱望されていたモリーが、ケガを負ったとは言え、なぜポーカーの世界に入ってしまったのか。それは厳格な父親に対する反発心と、その一方でずっと心に持ち続けてきた「父親に認められたい」という気持ちを満たすためなのだ。なにもモリーは大金が欲しかったわけではなく、ポーカーという手段を通じてラリーに振り向いてもらいたかったのだ。作中でトラブルが起こるたびに、全部ラリーの教育のせいだと言い張るモリーからは父親に対する強い執着が感じられて痛々しい。

本作におけるポーカーは物語を盛り上げる添え物のような役割で、特別な意味を持つものではない。あくまで親子愛にスポットを置いたストーリーなのだ。

『ダンス・ウィズ・ウルブス』でアカデミー最優秀主演男優賞にノミネートされたほどの名優・ケビン・コスナーが、なぜ今作ではわき役に回っているのか不思議でならなかった。しかし、この役こそ自然な演技ができて、なおかつ存在感のある役者でなければ務まらなかったのだろう。

ケビン・コスナーだけではなく、弁護士役のイドリス・エルバなど存在感のある名優がたくさん出演しているのも魅力のひとつ。かつてレオナルド・ディカプリオやベン・アフレック、トビー・マグワイアなどのセレブも通ったとされるモリーのポーカーの世界をのぞいてみてはいかがだろう?

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