マダム・イン・ニューヨーク(English Vinglish)

モラハラ旦那にイライラ…。『マダム・イン・ニューヨーク』に見るインドの語学事情は?

カテゴリーコメディ
監督ガウリ・シンデー
脚本ガウリ・シンデー
製作R・バルキ
R・ダマーニ
ラケシュ・ジュンジュンワラ
製作会社Hope Productions
言語ヒンドゥー語
タミル語
英語
公開2012年10月5日(インド)
2014年6月28日(日本)
上映時間134分
製作国インド
製作費-
興行収入186万ドル

予告動画

要約

シャシ(シュリデヴィ)は良妻賢母な主婦だが、英語はからきし話せない。その日も「ジャズ」の発音ができずに夫のサティシュ(アディル・フセイン)や娘のサブナにバカにされてしまう。そんなシャシはインドのお菓子であるラドゥ作りを得意にしていて、それを売ったお金をコツコツ貯めていた。

ある日、サブナの三者面談に急遽サティシュが行けなくなり、サブナは仕方なくシャシを連れていく。しかし、校長先生の前でシャシはほとんど英語が使えずに、いらない冗談を言ったためにサブナの機嫌を損ねてしまった。

そんなとき、ニューヨークで暮らすシャシの姪であるミーラが結婚することになった。シャシは姉のマヌをサポートするために、家族よりも4週間早くひとりでニューヨークに行くことになる。不安を覚えるシャシはサティシュに相談するがわかってもらえない。しかし、飛行機内では隣に座った親切な男性(アミターブ・バッチャン)が、英語とヒンドゥー語の通訳をかって出てくれた。

ニューヨークに到着したシャシは入国審査からあたふたしてしまうがなんとか合流し、ニューヨークでショッピングを楽しむ。別の日、ミーラの妹・ラーダ(プリヤ・アーナンド)と街中で別れたシャシはひとりでサンドイッチを買ってみようと店内に入る。しかし、混雑した店内で英語を使いこなせず、恥ずかしい思いをしてしまう。ベンチで涙ぐんでいるシャシを店内にいたフランス人男性が追いかけ、シャシが店内に置いてきたコーヒーを渡す。

ラーダと合流し、何気なく街中を走るバスを見ていたシャシは「4週間で英語が話せるようになる」と書かれた看板を目にする。思い立ったシャシは電話をかけ、英会話教室に通う決意を固める。授業料は決して安くはなかったが、お菓子販売でコツコツ貯めていたお金を使うことにした。

英会話教室にはIT企業に勤めるインド人やスペイン人のベビーシッター、中国人女性など何人かの生徒がいた。その中にはカフェでシャシを助けたフランス人のローラン(メーディ・ネブー)もいた。

温かい教師や生徒に囲まれて、シャシはイキイキと英会話教室に通い始める。マヌやミーラらにはレッスンを内緒にしていたが、偶然教室に通うところをラーダに見られてしまう。しかし、ラーダはシャシを励まし、英語のDVDをいくつか貸した。

そんなとき、娘のサブナから電話がかかってきて、スクラップブックの場所を聞かれる。戸棚にあると伝えたものの「英語で書かれているから、お母さんにはわからない」とまたバカにされてしまう。頭にきたシャシはカフェで、ローランに家族の愚痴をぶちまける。しかし、英語でオーダーできるようになっていることをローランから指摘されて喜ぶ。

ローランはどんどんシャシに惹かれていき、彼女がいるからレッスンに通っていることを大胆にもみんなの前で告白する。シャシは激しく動揺し、教室から出ていってしまう。ローランは他の生徒から文化の違いをわかっていないと諭される。その日からシャシはローランによそよそしい態度を取るようになった。

ミーラの結婚式が近づいてきた。家族と合流したシャシはニューヨーク観光の途中、こっそり家族から離れて英会話スクールに通う。しかし、その最中に息子のサガルがけがをしてしまう。さらに、卒業試験と結婚式が重なり、試験が受けられないことを知ったシャシは…。

レビュー

インド映画は先々月の『ダンガルきっと、強くなる』、先月の『パッドマン 5億人の女性を救った男』に続いて3本目。これらの作品に共通して言えることは、インドに根強く残る女性への差別意識、そしてそれを変えていこうとする姿勢だ。反対に言えば、それだけインドの女性差別は当然のように残っているといえる。

それでも前2作品は、女性を露骨に差別している描写はさほどなかったため、見ていてもストレスをさほど感じなかった。しかし、本作品はシャシの家族が徹底的に彼女をバカにしているので、冒頭から見ていて不愉快極まりない。娘のサブナももちろんだが、その影響は父親であるサティシュによるところが大きい。シャシに対して愛情はあっても、お菓子作りしかできないといってシャシを日常的にバカにしているからこそ、子ども達もそれに習ってしまっていることがわかる。しかも、他の女性との浮気もにおわせている。日本でいう「モラハラ男」の典型で終始見ていてイライラした。

シャシはとっても美しい。シャシ役を演じたシュリデヴィは1970年から90年代にかけて活躍した女優で、今作が15年ぶりの復帰作になったようだが、とても撮影当時50歳だったとは思えない。ローランがひとめぼれしてしまう理由も納得だ。

シャシにはサティシュよりも優しくて気が利き、しかもイケメンのローランの方が絶対にいいと思ったのだが、そこがインド映画。女性が浮気するシーンは絶対に入れてこないのだ。決してシャシが浮気すればいいわけではないが、このお約束の展開にはなんだかもやもやしてしまった。

帰りの飛行機でシャシが英語の新聞を断り、ヒンドゥー語の新聞がないか聞くシーンは、シャシがまた普通のインドの主婦に戻ることを暗示している。せっかく英語をマスターして、夫と子どもを見返すことができたのに、結局もとに戻ってしまうのかと思うと非常に残念だ。

それにしても、インドの先進的な英語事情には驚いてしまった。日本では、国内でシャシのような生活をしていれば、ほとんど英語を使う機会がないが、インドでは娘の学校でも英語が話せなければ恥をかいてしまうらしい。会社勤めのサティシュは英語を話せて当たり前といった雰囲気であるし、この辺りの事情には日本と大きな差があると実感した。日本人の英語力がいつまでたっても向上しない理由がよくわかる。

確かにインドの語学力やグローバル化はものすごい勢いで向上しているが、その一方で女性差別はなかなか撤廃されない。前回『パッドマン』を見たときには生理ナプキンの普及率の低さに驚いたが、その一方でIT化は進んでいるというのだから、日本人にはなかなか理解しがたい国だ。最近、映画にも取り上げられるようになり、ようやく女性差別撤廃の動きが進んでいるようだが、それによってインドの女性がどのように変わっていくのか、同じ女性として期待したい。

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