グリーンブック(Green Book)

演技・脚本・音楽が素晴らしい!『グリーンブック』はアカデミー賞にふさわしい名作

カテゴリードラマ
監督ピーター・ファレリー
脚本ニック・ヴァレロンガ
ブライアン・ヘインズ・カリー
ピーター・ファレリー
製作ジム・バーク
ニック・ヴァレロンガ
ブライアン・ヘインズ・カリー
ピーター・ファレリー
クワミ・L・パーカー
チャールズ・B・ウェスラー
製作会社アンブリン・パートナーズ
パーティシパント・メディア
コナンドラム・エンターテインメント
シネティック・メディア
言語英語
公開2018年9月11日(カナダ)
2018年11月16日(アメリカ)
2019年3月1日(日本)
上映時間130分
製作国メキシコ
アメリカ
製作費2300万ドル
興行収入8500万ドル(アメリカ)
3億1800万ドル(世界)

予告動画

要約

1962年のニューヨーク。主人公のトニー・リップ・ヴァレロンガ(ヴィゴ・モーテンセン)はナイトクラブの「コパカバーナ」で用心棒をしていた。

ガサツではあるものの頼りがいのあるトニーは大家族を支える存在であったが、ある日コパカバーナは閉鎖されてしまう。

新しい仕事を探すトニーは、アメリカ中西部のディープサウスを周るクラシックコンサートの運転手の求人を見つける。クラシックとは全く縁のないトニーだったが、週給125ドルに惹かれて面接を受けに行く。

面接官は旅の同行者でもあるアフリカ系アメリカ人のピアニスト、ドクター(ドン)・ドナルド・シャーリー(マハーシャラ・アリ)であった。カーネギーホールに住み、大統領の前で演奏経験があるドンは類まれなる才能の持ち主だったが、黒人であるため、いわれなき差別を受け続けていた。

そんな彼だが、あえて差別の激しい南部に演奏ツアーをすることを決意し、頼もしいトニーを運転手に採用する。

ドンのマネージャーはトニーにアフリカ系アメリカ人の旅行者が利用できるモーテルやレストラン、給油所が書かれたガイドブックの『グリーンブック』を渡す。

かくしてトニーとドンの8週間の演奏ツアーが始まるが、粗暴なトニーと高等教育を受けたドンは衝突してばかり。しかし、ツアーでドンが披露した演奏にトニーは深く感動する。ステージを下りたドンには激しい差別が待っていた。バーに入れば白人男性にリンチされるドンをトニーは助け、外を歩き回らないように注意する。

ツアー中、トニーは妻のドロレス(リンダ・カーデリーニ)に手紙を書いていたが、誤字脱字のオンパレードで文章も支離滅裂。見かねたドンはトニーに手紙の書き方を教える。ドンが考えた内容の手紙に家族は喜ぶ。

次第に距離を縮めていくトニーとドンだが、ドンを待ち受ける差別は終わらない。YMCAプールで同性愛者の白人男性と出会ったドンは、警察に連行される。トニーが機転を利かせてわいろを送ったことで逮捕は免れるが、ドンはこれに憤慨した。

さらに、日没後に二人が外出していたところ、警官に取り押さえられてしまう。差別的な発言に腹を立てたトニーは警官を殴り、収監される。ツアーの中止を恐れたドンが自分の弁護士に電話をしたことで、無事に釈放された。

トラブル続きのトニーとドンだったが、ツアーの最終公演をアラバマ州バーミンガムで迎える。しかし、ドンが演奏するカントリークラブのレストランは白人専用で、演奏前の食事を断られてしまう。さらに控室には物置をあてがわれた。

これまでの不当な扱いにも耐えてきたドンだったが、遂に「食事をとれないなら、今夜演奏はしない」とオーナーに言い放つ。トニーはオーナーから100ドルを渡され、ドクの説得を頼まれるが拒絶する。

怒り狂うオーナーの声を背に二人はカントリークラブを出て、黒人が入店できるクラブへ入った。

ウエイトレスから職業を聞かれたトニーはドンがピアニストであることを伝え、ステージに上らせる。トニーが演奏したショパンの練習曲は大絶賛され、店内は盛り上がる。他のバンドも加わり、ドンはアドリブをきかせて演奏を披露した。

そして二人はクリスマスイブまでに帰宅できるように、北へと急ぐ。道中で警察官に止められ、警戒するが警官はタイヤのパンクを指摘しただけだった。 眠気に襲われるトニーに変わってドンは運転をする。果たして二人はクリスマスイブまでに到着できるのだろうか…?

レビュー

2019年のアカデミー作品賞をめでたく獲得した本作品。近年は昨年の『シェイプ・オブ・ウォーター』や『ムーンライト』など、シリアスな作品の受賞が続いていたので、久しぶりに明るい作品が受賞したことは個人的にとてもうれしい。

社会への問題提起も大切だが、やはり映画はエンターテイメント。笑えて泣けて「見てよかった」と思える作品は積極的に鑑賞したいし、これからもここで紹介していきたい。本作の監督であるピーター・ファレリーは1998年に大ヒットを記録した『メリーに首ったけ』をはじめ『愛しのローズマリー』や『2番目のキス』など、コメディ映画の大ベテラン。

今作でコメディ映画からの脱却…といわれていたが、それでも随所に笑えるシーンが散りばめられている。それも無理に笑わせようとしているわけではないので、気楽に見られるのが魅力だ。

トニーとドンの車内でのやり取りや、手紙の書き方を教えるシーンなどは英語がわからなくてもとても楽しい。車内シーンが映画の大半を占めているが、会話のやり取りが楽しいので変化がなくても飽きずに見ていられる。この辺りにはコメディ映画のベテラン監督の手腕が発揮されている。

また、本作を大いに盛り上げてくれる要素としてピアノの存在が欠かせない。ドクの初演奏でトニーが魅了されるシーンは素晴らしく、こちらも鳥肌が立つほどだ。それまで全くピアノに興味がなく、スタインウェイの存在も知らなかったトニーが、ドクのために身体を張ってスタインウェイのピアノを調達させるシーンは印象的だった。

また、本作品は作品賞以外に助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリの演技も見ものだ。個人的に強く印象に残っているのは、南部で働く黒人たちを見つめるドクの演技。天才的なピアニストである彼は特権階級であるものの、激しい差別を受け続けている。白人にも黒人にも属せない、孤独な天才であることがこのシーンだけでわかる。

最近はLGBTなどマイノリティへの差別を取り扱った映画が受賞しやすいといわれているが、決して『グリーンブック』はそれだけの理由で受賞できたわけではない。脚本、役者の演技、音楽とさまざまな要素が映画を盛り立て、総合的に質の高い映画になったからだといえる。まさに受賞すべくして受賞した映画といえよう。

日本では上映中の映画館が少なくなってきたが、まだ残っているので未見の方はぜひ鑑賞していただきたい。大スクリーンで聞くドクのピアノに感動すること請け合いだ。

明るいグリーンで統一された映像も美しいし、緑豊かな今のシーズンにぴったりの映画としておすすめしたい。

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