日本のお土産に折り紙を持って行くと海外で喜ばれる、
というのは定番だが、
30か国以上の国や地域に日本折紙協会の会員がいる現在、
もはや一昔前の話である。
せめて折り紙の豆知識くらいは披露できるようになりたい…!
折り紙の豆知識を紹介
ここまで折り紙文化が世界に浸透した今、
折り紙は日本人が持つ当然のスキル
だと思われている可能性がある。
調べて見ると意外と奥が深い折り紙。
日本人のたしなみとして豆知識を覚えておけば
いつかどこかで使えるかもしれない。
●折り紙の発祥
折り紙の起源については様々な説があるが、
日本で独自に発達したもの、という説が根強い。
7世紀頃中国から製紙技術が伝わり、
工夫を重ねて和紙が誕生。
最初は儀礼的な目的で折られていたが、
やがて折ることそのものを楽しむようになっていく。
江戸時代には折り鶴を作ると寿命が延びる、
と庶民の間で鶴を折るのがブームになった。
実はヨーロッパにも独自の折り紙文化があり、
日本の開国とともに文化が融合し、現在に至ったと言われる。
だまし船や風船など伝承折り紙として伝えられているものもある。
●日本折紙協会
日本の伝統造形文化である折り紙を
国内外に普及することを目的に1973年に創設。
2002年株式会社日本折紙協会となる。
協会が発行する「月刊おりがみ」を
定期購読すれば会員になれる。
会員になると
「こどもおりがみ博士」や「折紙講師」になる資格が得られる。
石川県加賀市にある折紙博物館にも無料で入場可。
ホームページのリンク集では
折り紙作家や折り紙が買えるサイトが紹介されている。
●折り紙の日
11月11日は折り紙の日。
1という数字を4つ組み合わせると正方形(折り紙の形)になること、
世界平和記念日であることが主な理由。
制定した日本折紙協会では毎年この日に
「おりがみ供養」や「おりがみカーニバル」などを挙行している。
●千羽鶴の由来
折り紙の代表選手、鶴。
折り鶴が平和のシンボルであることから、
折り紙には平和へのメッセージが込められている、とされる。
日本の国鳥であり、
昔から縁起が良いとされてきた鶴。
亀と並び長寿の象徴であり
(と言っても鶴の寿命は50年ほどだが、
昔の人は今と比べてかなり短命だった)、
高く大きな声は天まで届くが如し。
さらに伴侶と生涯連れ添うことから
夫婦円満を表すものとして
「つがい鶴」がデザインされた婚姻届けもある。
とにかくそんなめでたい鶴が千匹もいるんだから、
もうすごいとしか言いようがないではないか。
これが「病気回復」の意味も持つようになったのは、
戦時中、戦地へ向かう兵士が無事に帰国することを願って
作られた千人針の影響である。
知識だけあっても実際に折れなきゃ意味がない。
でも見本通りぴしっと折れないんだよ…と嘆いている方。
折り方にもちゃんとコツがあるのだ。
・折り目をきっちりつける。
→折り紙の手順で「折り目をつける」
という工程がある時の「折り目」は、
ほんのりつけてはいけない。
のちのち重要な役割を果たすので
きっちりつけてやる。爪も使っていい。
・角と角をぴったり合わせる。
→わかってるけどこれがなかなか難しい。
でもここをおろそかにすると、
なし崩しに悪い方向へ行ってしまう。
もうどうやったって取り返しはつかないのだ。
全てにおいて基本は重要。
・ちゃんと説明を見ながら折る
でもうろ覚えのまま何回も折り直したら
当然汚くなるし、紙もへたってしまう。
しっかり覚えてるものでも、説明を見ながら折ってみると、
こんなやり方もあったのか!てな発見があったりするのだ。
・まずは簡単なものから折る
→大人だからってそんなハードルの高いものに
挑戦しなくたっていい。
ねこちゃんわんちゃん折ったって楽しいなら良い。
以上のことを踏まえてもう一回折ってみよう。
やっぱりきれいに仕上がった方が嬉しい。
折り紙の歴史を英語で…本でおすすめは?
とはいえ、日本の”origami”を
全く知らない外国人ももちろんいるわけで。
初めての日本文化に興味津々な外国人のために、
簡単な歴史を説明してあげたら
もっと喜んでくれるのではないだろうか。
”origami”を英語で分かりやすく言うなら“paper folding”だ。
【Paper folding, or “Origami” is one of Japan’s traditional arts.
(折り紙は日本の伝統芸術の一つです。)
It is the art of folding a sheet of paper into various figures such as birds,
animals and many other things without using scissors or paste.
(これは、1枚の紙を折るだけで
はさみやのりを使わずに
鳥、動物、花など色々な物の形を作る技です。)
引用:英会話学習.com/】
【Origami developed as a form of entertainment in the Edo period.
(折り紙は、江戸時代に、遊びの一形態として発達しました。)
The crane is the most popular origami model.
(鶴は最も人気のある折り紙のモデルです。)
引用:~ゼロトライ~ おもてなしの英語を独学でマスター】
ここまで読んで折ってみたくなった方のために
おすすめの折り紙本を紹介する。
子供と楽しむ用の簡単なもの(初級)か、
それよりちょっと凝ったもの・実用的なもの(中級)か、
超ハイレベルで芸術的なもの(上級)か。
目的やスキルによって
同じ折り紙本でも天から地ほどの差がある。
まずはそこを見極めてから選んでいこう。
●カミキィの季節のおりがみ(日本文芸社/著:カミキィ)
YouTubeチャンネル登録者数13万人以上の
折り紙作家カミキィさんの初著書。
写真映えしそうなポップでかわいい作品がずらり。
●おりがみ4か国語テキスト100(日本折紙協会)
日本折紙協会公認。
日本語・英語・スペイン語・フランス語で
折り方が解説されており、
この本をマスターすれば折紙講師も夢ではない。
●日本のおりがみ事典(ナツメ社/編集:山口真)
スタンダードなものを折りたい人に。
総作品数180。本も厚い。
難易度が3段階に分かれているので、
ステップアップする楽しさがある。
子供にも大人にも。
折り紙界のレジェント・山口真氏が編集している。
●端正な折り紙(ナツメ社/編集:山口真)
各国の折り紙作家が結集!
リアルな動物や恐竜、空想生物など芸術性が高い作品ばかり。
これが折れたら、
「また折り紙?もう飽きたよ」とか言ってる
すれた外国人もひれ伏すに違いない。
だが初心者は決して手を出すな。
この他、「至高の折り紙」、「高雅な折り紙」がある。
まとめ
折り紙が持つ技術はNASAでも応用されている。
急に話のスケールが大きくなったが、
これだけ科学が発達した今でも、
折り紙は自分たちの生活に必要欠くべからざるものなのだ。
知育や認知症予防の効果を期待して、
教育の現場や介護施設で
カリキュラムの一環として取り入れている所もある。
指先を使うことが脳のトレーニングになるのだ。
また折り紙には人を和ませる力もある。
いつだったか警備員のバイトをしていた時、
迷子の男の子を保護したことがあった。
その時案内所のお姉さんが、
不安そうにしている子供に
ぴょんぴょんガエルを作ってやったのだ。
お尻の部分を指で押して跳ねさせて遊ぶ単純なもの。
子供はたちまち興味を示し、
お姉さんと一緒に飛ばしっこをして遊び始めた。
たった一枚の紙でこんなことが出来るのか…と感心。
思えばあれが折り紙に興味を持つきっかけだったかもしれない。